山岳同人グリズリー

愛知の山岳同人「グリズリー」の山行記録

山岳同人グリズリーのホームページはこちら:https://mc-grizzly.wixsite.com/clubhome

4月28日土曜日、立山駅前の駐車場。日が昇って目が覚めた。
始発の混雑をやり過ごし、おもむろに出発の準備を始める。
気がつくと前日までの不安は不思議なくらい落ち着いていた。
ザックを背負い山へ持っていかない荷物を車に残して鍵をかう。
次このドアを開けるのはオートルートを完走して下山した後。
その時自分はどんな思いでこの荷物を手にするんだろうか?

立山駅は案の定、多くの人と荷物でごった返していた。
登山客4割、観光客6割でスキーヤーもちらほら見受けられる。
因みに、板をケースに入れて乗車することを求められる。
僕らは言われるままに指定されたビニール袋を購入したが、
ハード・シェル等で板のトップとテールのエッジを保護して
乗車している人もいた。多分このやり方が一番賢い。

ケーブルカーとバスを乗り継いで室堂の駅から外へ出ると、
白い世界と強い日差しが待っていた。さて、いよいよだ。
まずは室堂から一ノ越までシール登高。
トラバースからの緩やかな登り。目的地も遠くから見え
全くもって問題なし。

GH010068
室堂から一ノ越を目指す

一ノ越からは広い御山谷を滑り降りる。気持ちがいい。
楽しみにしていた谷だ。登り返す人も皆んな笑顔。
あまり下りすぎないよう注意しながら龍王岳と鬼岳を巻く。
この時の標高は2,300mを少し下回った程度。

GH010072
一ノ越から御山谷へ

で、難関の獅子岳だ。東斜面の二つの尾根線のうち
最初の尾根は難なくクリア。二つ目の尾根の先が見えない。
尾根まで行って、その先を見てみようか?
強い風が尾根を叩いて雪面がクラストしていたら厄介だ。
引き返すことがリスクになりかねない。
結局敢えて二つ目の尾根には近寄らず、獅子岳東斜面の
二つの尾根の間の斜面をシールで登高することにした。

GH010080
獅子岳東斜面

この手の急登は恐ろしい。
ターンに失敗してバランスを崩せば、まず滑落する。
締まった雪の上で、化学繊維は面白いほどよく滑る。
滑落したら止められない。下を見下ろしたところで
途中から急激に落ち込んだ斜面の先の谷底は見えず、
滑落したら何が起こるか想像もつかない。
また上を見上げても、標高差400mの雪の壁は
登っても登ってもただ黙って目の前に聳えるだけ。
失敗の許されない緊張が永遠に続くように感じられる。
気温も上がり雪が腐って登行中のターンが厳しさを増し
途中からピッケルとアイゼンに切り替えて登高を続ける。
そして何とか、二つ目の尾根の傾斜が緩む場所を見つけ
南東の斜面へと乗り越した。

GH010084
獅子岳南東斜面

南東斜面は引き続きピッケルとアイゼンでトラバース。
で、ザラ峠へと落ち込む獅子岳の南斜面へ出た。
良い知らせは、獅子岳南斜面からの眺望は効くので
滑落したら何が起きるか分からない、という事はない。
悪い知らせは、獅子岳南斜面直下に岩場が見えるので、
滑落したらどこかの岩に激突する事は容易に想像つく。
おまけに傾斜は登ってきた東斜面より更に厳しい。
従って無理はせず、ピッケルとアイゼンで下降する。
また緊張の連続だ。

GH010087
獅子岳南斜面

結局この日は獅子岳の急登に時間を要し
ザラ峠にテントを張った。

GOPR0090
ザラ峠からの夕日


コースタイム
 0810:出発(アルペン・ルート立山駅)
 1000:入山(室堂)
 1100:一ノ越
 1200:獅子岳東斜面標高2,300m地点
 1800:ザラ峠

メンバー
 グリズリー、ブナ(記) 

メンバー : けい、つっちー(記)

0730 ロープウェイ
0800 成就社
1000 二の鎖
1030 弥山
1120 天狗岳
1420 成就社
1500 ロープウェイ


天狗岳
20180504_103509


登山道からの弥山
20180504_111014


三の鎖
20180504_102652

オートルートとはフランス語で「高き道(La Haute Route)」を意味し、フランスのシャモニーからスイスのツェルマットまでの総延長120kmのルートを指すことが一般的。シャモニーはフレンチ・アルプスの最高峰モンブラン山麓の町で、そこからスキーヤー達はスイス・アルプスのマッターホルンを西に構えるツェルマットを目指す。日本オートルートはそれにあやかり、槍ヶ岳をマターホルンに見立てて立山から稜線をつないで槍ヶ岳を目指すスキー・ルートとして有名。でも実際スキーを履いたところは一ノ越、薬師から三俣蓮華までの区間、それと飛騨沢くらいでした。あとは板を背負って乾いた夏道の上を歩くか急登にピッケルとアイゼンでしがみついていたので、どちらかと言えば縦走に近い感じ。。それでも一ノ越や黒部五郎と三俣蓮華のカールなど、壮大な斜面を独占して滑るのは圧巻でした。 

ルートの〆は通常槍ヶ岳から槍沢を滑って上高地に出るのが一般的なようですが、上高地までの長い歩きと駐車場へのアクセスを考え、僕達は飛騨沢を滑って新穂におりました。が、槍平小屋から白出沢までの登山道はこの時期まだ藪と倒木に覆われていて通行困難。特にスキーをザックに括り付けての藪漕ぎは最悪。結局思うように前へ進めず、途中でビバークを余儀なくされました。更に白出沢にまだ橋はなく、前日から降り続ける雨で増水した川に腰まで浸かってスクラムを組みながら渡渉。そこから濡れて更に重くなったギアを背負って新穂高温泉へ。図らずも、想い出に残る下山になりました。。

今回の書き込みでは行程全般の報告のみ。毎日の記録は今後個別に書き込んでいきます。

行程概要
 4月28日:室堂〜一ノ越 〜(龍王岳)
〜(鬼岳)〜(獅子岳)〜ザラ峠
 4月29日:ザラ峠〜五色ヶ原〜鳶山〜越中沢岳〜スゴ乗越
 4月30日:スゴ乗越〜間山〜北薬師岳〜薬師岳〜太郎平
 5月1日:太郎平〜太郎山〜北ノ俣岳〜赤木岳〜黒部五郎岳〜三俣蓮華岳〜双六小屋
 5月2日:双六小屋〜樅沢岳〜槍ヶ岳〜飛騨沢ブドウ谷付近
 5月3日:
飛騨沢ブドウ谷付近〜新穂高温泉
  (註:括弧内の山はトラバースしてピークを巻いたことを示す。)
 
メンバー
 グリズリー、ブナ(記)  

↑このページのトップヘ