鑓温泉から鑓ケ岳と杓子岳を越えて大雪渓を下りてくるつもりでしたが、大雪渓は通行止め。止む無く杓子岳までのピストンです。天候は穏やか過ぎて逆に怖いくらい。十分楽しんできました。紅葉は麓の猿倉が見ごろでした。それより上は終わりかけ。野営は鑓温泉跡地。快晴無風で冷んやりと冷え込んでいく夜を、硫黄泉に浸かりながらしんみりと味わいました。満月の夜でした。



10月15日13:50猿倉

金曜の夜はバッチリ眠り、翌朝8時にのんびり出発。で、食料仕込んで猿倉の駐車場に着いたのは2時ちょっと前。今日は鑓温泉でテン泊だ。意気揚々と歩き出す。


歩き始めは小日向山の北斜面。向かいの栂池は今が見頃の紅葉全開。



小日向山の尾根を越えると風景が一変。目の前には荒涼として荒々しい、鑓ケ岳から唐松岳への尾根線が聳える。


日が山の向こうに隠れた後の誰もいない山道は、静まりかえって寂寞とする。それでも歩く程に変わる風景が、小説を読むかのように先を急がせる。で、この小説はハッピー・エンド。遠くに見える湯けむりが保証する。



10月15日17:10鑓温泉
鑓温泉に着くと、笑顔しか見当たらない。風呂に浸かる人、風呂から上がった人、呑みながら語る人。そそくさとテントを張って、早速湯に浸かる。標高2,000m弱のこの温泉のちょっと上には初雪がうっすらと残る。風はない。日が暮れるにつれしんみりと冷え込んでいく秋の夜には、湯の花が舞いながら ドバドバ流れる硫黄泉が気持ち良い。満月の夜だった。


10月16日05:00鑓温泉
翌朝はご来光を拝んだ後、またのんびりと朝風呂三昧。それからおもむろに朝食を取って、さてどうしよう。大雪渓が雪不足により通行止めだから登って行っても猿倉には帰られない。だからと言って、こんな気持ちの良い日にこのまま引き返すのはあり得ない。まずは天気良いからテント干そう。その間歩いてくることにする。。


10月16日08:00鑓温泉発
さてと、ここから。昨日は進む程に変わる風景にワクワクしながら先を急いだ。今日は急登も助けてゆっくりと登る。ちょうど老画家の絵を一服ずつ楽しむかのように。今日の昼にはこの老画家が筆を置く、最期にして最高の傑作を眺めることになる。大事に歩かないと。。


10月16日10:45白馬鑓ケ岳
風のない、穏やかな山頂。遠く富士山まで見えた。もう少し歩こう。


10月16日11:30杓子岳
杓子岳を目指して歩き始め、見えなかったキレットを見下ろしてゲンナリする。気をとりなおしてまた歩き出し、山頂でお昼ごはん。白馬も近そうに見えるが、キリがない。次の機会に取っておいて、今日はここから引き返すことにした。


10月16日15:00鑓温泉発
鑓温泉に戻って干しておいたテントを撤収。テン場にはもう誰もいない。祭の終わった無人の湯船を後にする。

10月16日17:30猿倉着
そう言えば鑓温泉から猿倉までは6キロあるのを忘れてた。途中日が暮れたけど、ヘッ電を出す前に駐車場へとたどり着く。最後の一台。最後に来て最後に帰る。まあ最後に来たんだから、帰るのも最後。素晴らしいコースだった。